図解 豊かさの栄養学〈3〉最新ミネラル読本 (新潮文庫)
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新潮社

欠乏症は多くないが、マイルドな不足による不調は多い。太古、自然のままの食品を食べていた時代、カリウムは取りすぎでナトリウムは不足気味だった。そのため、カリウムの排泄能力は日に240mgあるが、ナトリウムは10mgしかない。現在は、ミネラルバランスが定常的に崩れている。

カリウムは細胞内の方が外より30倍も濃度が高い。マグネシウムも同様。ナトリウム、カルシウムは逆で細胞の外の濃度が高い。カルシウムの場合1万倍の濃度差がある。この差を生みだすためにミネラルポンプが常時働いている。その一つナトリウム・カリウム・ポンプは各細胞に200~300も備わっており、人間の身体の中で消費されるエネルギーの1/4はこれを働かせるために消費されると考えられている。

破骨細胞が通り過ぎた後を造骨細胞が追いかけて新しい骨を作る。両者が休みなく活動することで骨の中のカルシウムは10年間ですっかり入れ替わる。運動で良く使う部分の骨は強くなる。また、骨折してもスムーズにつながる。タンパク質やミネラルが十分にないと造骨がうまくいかず骨がどんどん弱くなってしまう。骨にはミネラルが貯めこまれているが、破骨と造骨により全身のミネラルの多寡の調整がスピーディに行われる。造骨にはカルシウムが最も重要だが、ビタミンDと副甲状腺ホルモンが不足すると腸管からカルシウムを吸収することができない。30代半ば過ぎからは造骨細胞の働きが劣性になる。その後はカルシウムをいくら摂取しても骨のカルシウムは貯蓄は減る一方だが、減るスピードに多少ブレーキをかけることは可能。そうしなければ慢性的な体調不良を引き起こし、はやばやと骨粗鬆症にかかることになる。

カルシウムとナトリウムは細胞の外、マグネシウムとカリウムは細胞内にあってバランスが取れている必要がある。現代人ではナトリウムの取りすぎと他の3種の不足が起こりやすい。筋肉の場合、細胞内でマグネシウムとカリウムが不足し、カルシウムとナトリウムが増えると緊張してしまう。血管の筋肉で起こると血圧を上げる。心筋で起こると不整脈や心筋梗塞の原因となる。骨格筋では痙攣、硬直などが起こる。バランスの調節の仕組みは吸収の効率や排泄の効率もからんで複雑である。植物性食品を自然の状態でとるのが基本である。リンを多く含む肉類はマグネシウムの吸収を阻害する。タンパク質の過剰摂取はカルシウムの排泄を促進する。

貧血は空気の希薄な高地で息が苦しくなった状態と似ている。全身の組織に酸素を運ぶことができない。赤血球を作るには葉酸、ビタミンB12、B6、鉄が必須。どれが不足しても正常な赤血球が作れない。鉄分を多く含むのはひじき、レバー、イワシ、カキ、小松菜、大豆など。鉄の吸収を高めるのは肉類とビタミンC。

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