丸元淑生のクック・ブック (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

毎日の食事は穀類・豆類・野菜を基本にするのが良い。それにビタミンB12供給源と果物・生食野菜を加える。
豆類は穀物のタンパク質と合わせての完全性を補完しあう分量とする。カロリーで穀物3対豆類1くらいの比が望ましい。この組み合わせでタンパク質を摂ると脂肪の摂取量を下げることができる。豊富な食物繊維源ともなる。また、ナトリウムの含有量が少なくカリウムが多いことも重要である。毎日十分な量を摂取し、これらの特色を生かすことができる調理法も重要である。スープとサラダと自家製もやしが理想的な調理法となる。(本誌は西洋食が主体で和食の記述が少ない。豆腐と納豆、味噌汁など和食を主体にすればもっと簡単に毎日豆類を摂ることができるはず。)スープの材料としては、スプリット・ピー、レンティル、ガルバンゾーがお薦め。ストックで30分~45分煮るのが基本。レモンと調味料で薄く味付けする。ストックがなければ水でも良い。ストックはミネラル源となるので食後の満足感が高まる。別に炒めた玉ねぎ、セロリ、人参、ピーマンなどを加えるのも良い。ニンニクやトマトも良くあう。じゃがいもも良い。
以下、野菜の調理法、ストック、ダシ汁、基本食材、野菜、魚介類と続く。(健康に悪いと考えるからか肉料理は出てこない。)

オート(穀類だが豆料理の文脈で書かれている。)日本で言うカラス麦。米・麦と同等のタンパク質を含みビタミンB群源としても優れている。なにより水溶性食物繊維が豊富で、これは腸の健康維持に欠かせないし、コレステロールも下げる。フィチン酸が少ないのでミネラル摂取を妨げることがない。スープに入れて取り入れることを勧める。10分煮れば柔らかくなるから手軽で良い。ロールドオートは加工度が最も低く常食に適する。間食にも良い。水で煮るだけで良いしドライフルーツを入れても良い。
豆のサラダ。煮た豆を油と酢であえて食べるが、サラダにして美味しい豆は、大正金時豆、白花豆。大正金時豆はキドニービーンズに似ている。栄養素と味を損なわないためには最小限の水で、火の使用も極小にする。ビタクラフト鍋か丸底鍋を使うことを勧める。豆は洗って2.5倍の水に1晩(8~9時間)つけておく。その水のまま弱火で40~50分煮る。40分過ぎたら頻繁に味見し、煮過ぎないこと。煮汁を捨てて油と酢であえて出来上がり。好みで玉ねぎ、パセリを一緒に煮ても良い、サラダとして後から加えても良い。冷蔵庫で数日持つので便利。

自家製豆もやし。小豆、大豆、レンティル(ひら豆)はもやしにして食すに適している。発芽によって栄養が増す。栄養がピークになる、芽が5mmから1cmくらいで収穫する。乾燥した豆の状態ではまったくなかったビタミンCが豊富になり、ビタミンA、E、B群も増加する。デンプンも一部糖に変わって甘味が生まれる。15分蒸すだけで、栄養素も損なわず、そのまま何もつけずに美味しく食べられる。ザル栽培で簡単に発芽させることができる。大豆で水に12~18時間つける。それをザルにあけ、温室代わりにポリ袋をかぶせておく。1日に2~3回ザルごと水洗いし、2~4日で適度に発芽したところを収穫する。

野菜の調理法。水を使わずに蒸す、クイックスティアフライ、ゆで、サラダ、トスドサラダ。野菜をゆでる場合、最初に70度以上の加熱をして酵素を壊す。強火で沸点を維持しながら少しずつ入れる。ホウレンソウの場合なら2株か3株ずつゆで、ゆでる端からザルにあけていく。ゆでる湯に重曹を入れると冴えた色になるが、ビタミンCがほとんど抜け出すのでさけた方が良い。アク抜きが必要な山菜・野草を除いて水に放つ必要はない。水洗いすると栄養素が逃げてしまう。酵素が壊れていれば色がそれ以上くすんだりしない。ゆでた野菜は早く温度を下げる必要はある。高温のままだと熱に弱いビタミンCや葉酸の破壊が進む。短時間流水で冷やし、すぐに水を軽く絞るのが良い。

サラダは欧米でも実は新しい。20世紀に入り冷蔵庫が出現してから。カリフォルニアのレタスが冷蔵車で東海岸に運ばれるようになって流行した。エンダイブ、チコリ、クレソン、人参、キュウリ、セロリ、トマト、ピーマン、自家製もやし、などなど。サラダは加熱による栄養素の破壊がない利点がある。生野菜は体力がないと消化できないので、元気でないとたくさんは食べられない。消化能力を測るバロメータで、サラダが食べたくなるくらいまで身体を動かしていることが健康維持につながる。

トスドサラダ。葉は酢や調味料が加えられる前に表面が油できらきら輝くまで十分にトスされているべきである。必須脂肪酸をふくんでいる油を使うべきだ。熱を加えずにそのまま使うので理想的な状態で不飽和脂肪酸を摂るほとんど唯一のチャンス。洗った野菜をよく水切りする。油をかけて、木製のフォークとナイフでボウルから10センチくらい持ち上げて落とす。油の膜は酸素から遮断してビタミンの破壊を防ぐ。水気も弾いてビタミンとミネラルが溶け出すのを防ぐ。少ない量で油膜を作るにはトスする回数を増やす。トスは食べる10分前にする。ドレッシングは食べる寸前にかける。
ドレッシング。基本は酢またはレモン汁に少量の塩を加えたもの。好みでハーブやスパイスを加える。
必須脂肪酸はオメガ3とオメガ6の2種類ある。いずれも加熱に弱いので、サラダに使うのが唯一のチャンス。酸化すると有害な物質になる。オメガ3とオメガ6は均衡が取れている必要があり等量を摂取しなければならない。オメガ3を含むのは亜麻仁油(フラックスシードオイル)、エゴマ油、シソ油。いずれも60%前後含んでいる。キャノーラ油、大豆油にも10%程度含まれている。その他の油にはほとんど含まれていない。オメガ6はごま油、コーン油、大豆油、紅花油などに50%以上含まれている。オリーブ油はオメガ9を70%以上含む。新紅花油も同様。オメガ9は必須脂肪酸ではないが、加熱に比較的強いので炒め物に使うの良い。飽和脂肪酸は加熱に強いがカロリーをもたらすだけで栄養素を含んでいない。血液の粘度を高めて血流を悪くし、心臓血管系障害の原因となる。

広告

丸元淑生のクック・ブック