火の賜物―ヒトは料理で進化した
リチャード・ランガム
エヌティティ出版

エネルギー多消費の脳が大きくなって行くと同時に、胃腸が小さくなった。180万年前、ハビリスからホモ・エレクトスへの進化は料理した食物の摂取の始まりによる。臼歯の面積が21%減少、体のサイズが大きなり、胃腸の容量が小さくなり脳容量が42%増加し、木登りが不得意になった。地面で寝るためには火の使用が必要と考えられる。初めてアフリカを出て170万年前西アジア、160万年前インドネシア、140万年前スペインに達している。

アウストラロピテクスは直立歩行したが、特徴のほとんどは類人猿に近かった。チンパンジーほどの背丈で木登りがうまく、脳の大きさはチンパンジーと変わらず、胃の大きさも類人猿と同等だった。エチオピアで260万年前に石刃が使われたことが化石の骨についた傷痕から分かった。230万年前のハピリスは類人猿の特徴を持つが、脳が大きく、人類への中間的存在と考えられる。ホモエレクトスは解剖学的特徴はほぼ現代人と同じで同等の身長・体格である。まだ脳が現代人ほどは大きくない。20万年前、脳が発達した現代人が誕生した。

アウストラロピテクスからホモエレクトスへの進化の要因は何か。従来は肉食としていたが、筆者は火を使った料理であるとする。採集なしに狩猟は成り立たない。解剖学的特徴は肉食に適していない。

ヒトは過度のタンパク質摂取で中毒症状を引き起こす。炭水化物か脂肪かがなければ数週間で死んでしまう。ヒトが誕生した熱帯の哺乳類の体脂肪率は平均4%程度と低く、脂肪は期待できず、植物の炭水化物が欠かせなかった。

ヒトの顎、口、歯では小さくて非力で生肉食ができない。肉の消化で重要な胃も小さく、消化器官は肉食に適していない。肉食動物では生の肉は長く胃に留まり胃壁の強力な収縮で小腸での消化がしやすくなる。犬は2から4時間、猫は5から6時間、食物を胃にため、小腸を素早く通過させる。ヒトは1から2時間しか胃に食物をとどめず、長い時間をかけて小腸を通す。生肉についたバクテリアが生み出す毒素への抵抗力もほとんどない。有害バクテリアによる中毒件数は毎年数千万件に達する。

ヒトは生食では必要なエネルギー摂取ができない。現代でも完全な生食主義ではやせ細って、健康を維持することが困難である。

 

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